その十二 漸化式の話

 数列の基本的なとらえ方として「前の項とどんな関係にあるか」を観察する事がある.たとえば簡単な等差数列
1, 3, 5, 7, 9, ・・・
だと,「前の項に2を足すと次の項になる」と言えるし,
3, 6, 12, 24, 48, ・・・
だと,「前の項を2倍すると次の項になる」と言える.こういった前の項と次の項との関係を式で表したものを「漸化式」と呼ぶ.たとえばさっきの等差数列では

と表されて,等比数列では

と表される. 最初の方の項と漸化式を決めれば次々と数列の項が決まっていくのだ.

 高校では漸化式から数列の一般項を求めさせる問題をいくつか扱うが,その中でちょっと興味を惹かれたのが連続3項間の漸化式
・・・(ア)
だ.一般項の求め方は以下のようにする.

(ア)の漸化式をと変形して,という二次方程式と比較して考える.
の二つの解をα,βとすると,解と係数の関係よりである.そこでこの漸化式を次のように変形する.


 さてこの漸化式,(ア)の様子だとpqがすべて実数だとすべての項が実数になるのは明らかだろう.しかし,α,βは実数である保証が無い.pqの値によってはαとβは虚数になってしまう場合(判別式)もあるからだ.さてこの一般項の表示,虚数が含まれるとはちょっと気持ちが悪い.どうしたものか・・・
 α,βが虚数ならばこいつらを極形式で表示してみることもできるはずだ.そうするとβはαの共役複素数なのでと表せばと表せる.これを利用してさっきの一般項の表示を書き換えてみるか.
ド・モアブルの定理よりだ.したがってとなり,(エ)式は,

と書けて虚数が含まれない代わりに三角関数であらわされることになってしまった.また,pq


と表されるので(ア)の漸化式は

と表される.

 ここでr=1として,漸化式

を考えてみる.実はこの漸化式,初項と第2項をうまく取ると面白い数列を生み出すのだ.
としてみよう.そうすると(オ)の式より,

となるのだ.漸化式でn倍角の式が作れてしまう.とすれば,

・・・

といった具合に次々とn倍角ができていく.
sinθでも同様なのだ.とすれば(オ)の式より,

となる.先ほどと同様にn倍角を作ってみる.とすれば,

・・・

といった具合.
という漸化式で与えられる多項式をChebychev多項式というんだそうな.


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