その二十 手抜き定積分の話

 高校数学IIで積分を学習する.中でも定積分の計算は激しく面倒な計算になることがありうんざりしている高校生も多いように思う.そこで,二次関数がらみの定積分の手抜き計算法を考えた.

 まずは普通の積分である.x=0からx=kまでの範囲で積分すると,x軸,x=kで囲まれた部分の面積が求まる.
求める面積は

となる.

 この式をととらえると,積分区間の長さkが底辺,x=kのときのy座標が高さだとすれば「底辺×高さ×1/3」という三角形の面積の公式もどきができあがる.この公式が後に述べるの手抜き計算法にいかされるのだ.
この公式を「1/3公式」と呼ぶことにする.
 もうひとつ使われるのが,よく知られている「1/6公式」.これは直線が放物線と2か所で交わっているとき,直線と放物線とで囲まれた部分の面積を求める公式である.
 
である.
 この1/6公式でm=0,n=kとすればこの積分はとで囲まれる面積となる.これと先ほどの1/3公式とをくっつけてみるとちょうど直角三角形となっていることも確認できる.
  面倒な計算のひとつに,このような放物線と接線で囲まれた部分の面積を求めよ,という問題である.
普通に解くならば接線の方程式を出して放物線と接線の方程式の差を積分するわけだ.
まずは真っ当に計算する.
放物線上の点における接線は,導関数が

であることより微分係数が2akとなるので

となる.整理すると

となる.
そこでx=lから接点までの積分を考えると


となる.計算がちょっと大変になってくる.だが,結果の式から1/3公式との関連を考えずにはおれない.

 二次関数の式f(x)から接線の一次関数の式g(x)をひいてもやっぱり二次関数であることには変わりないし,ひいた式f(x)-g(x)において,f(x)g(x)との接点はf(x)-g(x)の頂点になってくれるはずだ(下図).ここまで揃ったからには1/3公式を使わない手はない.

1/3公式の「底辺」に当たるものは積分区間の幅,「高さ」に当たるものは「底辺」に見合う量,すなわちの係数であるaと底辺の2乗との積とすればよいので,求める面積はとなるのである.

余計な積分計算をせずに面積が求まってしまった!

 接線二本と放物線とで囲まれた面積についても同様である.

 二接線の交点の左右で先ほどの計算と同じことをすればよい.二つの接点のx座標さえわかればあとは先ほどと同じである.
左右に分けて放物線を変形させた図を描いてみたが,やはりの係数は左右で同じで,「高さ」も左右で共通になるので左右が合同となり境目のx座標は二つの接点のx座標の中央の値となることもわかる.
したがってこの場合「高さ」は二つの接点のx座標の差の半分に見合う高さということになり,それを用いて1/3公式に当てはめればよい.

1/3公式の「底辺」に当たるものは積分区間の幅であり,高さに当たるものは,一方の接点のx座標kから二接線の交点のx座標までの長さがであることからの係数であるaと底辺の2乗との積となる.したがって求める面積はとなる.

これも真っ当にやると計算がなかなか大変になってくるが1/3公式ですぐに計算できてしまった.

戻る