その十三 因数分解の話

 以前日記にも書いた多項式の因数分解の話を.まずは一元二次式の因数分解.

こんなのは朝飯前って?そりゃ確かに和が-6,積が8になる二数は-2と-4だから

ってのはすぐ見つかる.
 ではこんなのでは?

こりゃすぐには見つからんかもね.どうやって見つけるかって?12600の約数をしらみつぶしに数えていってもたかだか72個.いつかは見つかるだろうけどそれでは芸がないし無駄が多い.ここでは二次方程式を利用してみる.

この二次方程式を利用する,という方法は,

というものである.

与式を

とおいてxの二次方程式を解いてみると

ということはこの二次方程式の左辺は

だったことになる.
これが求める因数分解.大変なのは二次方程式の根号の中の61009が2472であることを見抜くことだけど・・・これは平方根の話の中で出てきた開平を使えば何とかなるでしょう.
 高校でようやく出てくる「たすきがけ」も,約数の個数が多いと大変.

くらいだと,ちょっとの試行錯誤で

と分解できたりするが,

なんかだとどうしよう?これも解の公式で

ということで因数分解は

となる.
 ほぼ同様の方法に平方完成して二乗の差を作ってしまう方法もある.

実際,

であり,判別式が平方数ならば因数分解できる.

ならば,上の式の続きは

となってめでたく因数分解できるのだ.


 それでは二元二次式ではどうか.斉次式は一元二次式と同じなので非斉次の場合を考える.

を因数分解してみよう.通常はxまたはyについてまとめて因数分解するのだが,一次の項が面倒だ.そこでこんなことを思いついた.
因数分解は分解前・分解後を等号でつなぐと恒等式だ.したがって,たとえばyに0を代入したとしても残った式が因数分解できてしまうはずだ.y=0を代入すれば

これを因数分解すると

だ.同様に元の式にx=0を代入すると

これを因数分解すると

となる.上の二つの因数分解を見比べて,「-5が同じだなぁ〜」「-3にマイナスつけたら+3だなぁ〜」ということが見つかるので,求める因数分解は

となる.
 もちろん,二次方程式を使ってもいい.上の式で実際にやってみると,


 さて,困った問題が,「定数項比較してもどっちも同じでわかんねえや」というとき.

といった問題.さっきと同様にxのみ,yのみにして因数分解してみると,

一見+2同士でまとめたらいいように思われるがそうすると式全体が2で割れてしまう事になる.xyの係数の3が矛盾してる.ではどうするのか?
こんなときは二次の項のみの因数分解を利用する.

なので,上の式と見比べて

だ.この手の問題ならば二次方程式の方がすっきりするかもしれない.

 二次式の因数分解は二次方程式と密接な関係にあったわけだが,ちょいと変り種を.

をみたす自然数(a,b)の組(ab)を見つける問題.11≦a≦20と制限をつけてしらみつぶしでもよいのだが因数分解を使ってみることにする.
分母をすべて払って式をまとめると

となる.両辺に100を足すと

となる.a-10,b-10はともに整数でなくてはならないので,結局は積が100になる自然数の組を見つける事になる.
(a-10,b-10)=(1,100),(2,50),(4,25),(5,20),(10,10)の組があり,
(a,b)=(11,110),(12,60),(14,35),(15,30),(20,20)
の5組が解として見つかる.

一般に,の形の不定方程式の整数解を求めるには,方程式を

と変形し,右辺のbc-adの約数を利用するとよい.

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