その二 電卓の話

 もう何年になるだろうか.小学生の時に家にあった電卓をいじりまわすことが一つの「遊び」になった事がきっかけでいろんな数を知り,いろんな計算を知る事になった.その電卓,CASIO JS-10は今も愛用している.
 機能は至ってシンプル,四則と平方根と一つメモリがあるというものだ.説明書を読みながらいろんな計算をした覚えがある.同じ計算の繰り返し,たとえば
100+3+3+3+3+3+3
なんて計算があったなら,
「3++100======」
と押せば=の回数分だけ3を足してくれたり,2nの計算も
「2××===…」
と,やはり=を押した分だけ2をかけてくれたりする.さらに,「=」のキーを押すとその計算の答えがメモリに加算されていき,
「GT」
なるキーで「=」を押して求めた計算の総和が呼び出せる.この,
同じ計算を繰り返す
計算の総和を求める

という機能を利用して次のような計算で遊んでみた.
「2××1======」
ウインドウには26の計算結果である「64」が表示される.
「GT」
今度は加算された答え,すなわち2+4+8+16+32+64の計算結果「126」が表示される.
回数を変えて似たような計算を何度も繰り返した結果,「6」「14」「30」「62」「126」「254」「510」「1022」「2046」「4094」…となった.どうやら
2の累乗の総和はその次の2の累乗から2を引いた数になる
ようだ,という事に気付いた.さすがにこれに気付いたのは2の時だけで,他の3や4などについては特に見つける事ができなかった.


 さて,今度は
「2÷÷=======…」
と続けていくとどうか.ウインドウの表示は「1」「0.5」「0.25」とどんどん半分ずつになっていき,計算桁数を超えてついには「0」となる.ここで
「GT」
を押す.結果は「1.999999987」と出た.何かの偶然なのかほぼ「2」になった.今度は
「3÷÷======…」「GT」
と押す.結果は「1.499999993」と,今度はほぼ「1.5」だ.こうなったら4でも5でも調べてみないと気が済まない.
「4」のときおよそ「4/3」
「5」のときおよそ「5/4」
「6」のときおよそ「6/5」

どうやら割り続ける数をそれより1つ少ない数で割った答えになりそうだ.
 では,微妙に変形して次のような計算をして見た.
「2÷÷1======…」「GT」
およそ「1」と出た.最初の項が1であるか1/2であるかの違いなので上の結果の「2」より1だけ少ないのは当然だ.やはり同様に
「3」のときおよそ「1/2」
「4」のときおよそ「1/3」
「5」のときおよそ「1/4」

今度はもっと簡単に,
1/nの累乗の総和が1/(n-1)になる
という「予想」が出来たのである.やっぱり小学生の身としては等比数列の和,ましてやその極限などというものなんか知る由もない.ただ電卓がそんな計算を返してきたのを自分なりに解釈しただけのものである.


 先の計算を普通の式で書くと

というだけの,普通の等比数列の和.高校のときに習う式だが電卓を使って小学生でもこんな式に近づけたのである.電卓に感謝.

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